October 23, 2016

屏風岩/三つ峠

 今日は三つ峠でクラッククライミング&フリー。

 アルパイン的な簡単なルートが多い三つ峠。だが、数は少ないが、5.10グレードがついたクラックもある。

 その中でも最も難しいのが「ワントリックポニー(5.10d)」。

 ということで、今日は「ワントリックポニー」にチャレンジ。


 1P目(4級) Iさんリード OS

 階段状のアプローチを登って、亀ルートの1P目をたどって、ワントリックポニー取りつきへ。



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                      <1ピッチ目をリードするIさん>


 2P目(5.10d) 私リード OS

 下から見る限り、かなり自然に還ってる感のある細いクラックをたどり、核心へ。


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            <上部中央、上に向かって突き上げる細いクラックが、「ワントリックポニー(5.10d)」。最近は、誰も登ってないのか、ほぼ自然に還ってました。。。>


 クラックの中は苔が生えており、ところどころ濡れているため、見た目以上に、いやらしいクライミングを強いられる。


 あえて残置を無視して、カムでプロテクションをとって突っ込む。

 核心を越え、右にトラバース。岳ルート2P目の終了点テラスへ抜ける。



 3P目(5.10a) Iさんリード OS


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 人気の岳ルートの最終ピッチをたどり第3バンドへ。




 ほぼ自然に還っていたルートだったが、何とかOSできて、満足(^^)


 その後、ボルトルートの、「ガババー(5.11c)」にFLトライ。


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                    <実は上部のカチ地帯が核心の「ガババー(5.11c)」>



 出だしのガバ地帯を抜けた後、最終ピンにクリップした後の細かいカチ地帯で落ちる。

 名前に反して、核心は、「最後のカチ地帯の突破」に集約されている。

 ムーブ含め、11cにしては悪いんじゃないんだろうか。


 2便目でRP。


 昨日の延々7時間の宴会の疲れもあり、本日はこれにて終了。


 Iさん、ありがとうございました!

  

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October 22, 2016

屏風岩左フェース/三つ峠

 今週末は三つ峠で10数年ぶりにセルフレスキューの訓練に参加。

 マルチピッチでのクライミングをやる以上、基本的なセルフレスキューのシステムについては、迷うことなくできるようにしておくことが必要。
 そうでないと、何かあった時に、仲間の命だけでなく、自分の命さえ救えない。

 そして、三つ峠は、丁度、紅葉が綺麗な時期だった。


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           <紅葉の三つ峠から望む霊峰・富士山。幻想的な風景が広がる中でのレスキュー訓練>



 アルパインクライミングを始めた20年ほど前にはよく来ていた三つ峠も、20年ぶりに来ると、様相を一変。昔は、「むさい山屋」しかいなかったと思うが、今は、色とりどりの派手なウェアに身を包んだ多くの「山ガール」が、三つ峠の岩場を登っている。時代が変わったなぁ~。

 訓練項目は、
1 懸垂下降におけるバックアップ(マッシャーノットでレッグループでバックアップ)


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2 懸垂下降中の停止(ラペルロック)と解除。(足に巻き付ける一時停止と、ATCの下でループを作ってくぐらせる二つの方法)

3 マッシャーノットでの登り返し(ユマールがない、セルフレスキューでの状況を想定)


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 ダイニーマスリングでもマッシャーが有効なのは意外だった。これまでは、アルパインに行くのにわざわざテープスリングを持って行っていたが、これからは不要だろう。


4 トップが墜落した場合のカウンター・クライミングとカウンター・ユマーリング。
5 負傷者の1/5引き上げシステム

 負傷者の引き上げでは、メインの支点では少なくとも支点にプーリーを1つを使わないと、引き上げが困難なことを確認。


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             <このような方法もできなくはないが、ロープがかなり重くなる。マイクロトランザクションを使った方が有効>



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                           <紅葉の屏風岩>


 本日は、半日ほどでセルフレスキュー訓練を終了し、みんなで宴会。


  
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March 23, 2003

爺ヶ岳/東尾根

 21日   (0850)鹿島小屋~(0950)1450m地点~(1050)J・P~(1200)P3~(1400)2400mのテン場
 22日  (0630)2400mのテン場~(0730)爺が岳~(0830)冷池乗越~(1230)大谷原~(1330)鹿島小屋

 久しぶりの山行だというのに結局、この週、仕事が忙しいためほとんど家に帰れなかったので、取り急ぎ山行グッズを車につめこみKさんとの待ち合わせ場所に車を飛ばす。24時、錦糸町駅前で合流。鹿島槍へむけ車を飛ばす。

 車の中でお互いの装備を確認する。今週はあまり雪も降っていないだろうからトレースばっちりだろうということでワカンは置いていくことに決定する。忘れていけないのはスノーソーだ。今回の山行の真の目的は実はイグルーの制作にある。果たして初めて作るイグルーで1泊することはできるのだろうか?

 早朝5時、鹿島小屋の前の駐車場はすでに車で一杯だ。仕方がないので路肩に車を寄せ、仮眠をとる。

 我々が出発した9時にはすでに他の多くのパーディーは出発した後だった。まぁ今回は日帰りが目的ではないのであせることもない。。

 順調に高度をかせぎ、他のパーティーをごぼう抜きして5時間で山頂目前の開けた場所にたどり着く。東尾根は特に難しいトコもなく、延々と雪綾を登るだけである。ザイルもはっきりいっていらない。

 トポではP3以降にテン場に適した場所はないと紹介されているが、ここは5~6張くらいのテントなら十分張れるくらいに開けた快適なテン場である。

 当初の予定では冷池山荘まで行く予定だったが、久しぶりの山行でちとバテテいたこともありここで当初の目的であったイグルーの制作にとりかかることにする。

 イグルーに関する知識といえば某MLで流れていたものを読んだくらいではっきり言って二人とも全くの素人である。かすかな不安を抱きながらとりあえず穴を掘り始める。

 最初に作ったものは掘りやすいだろうと思いふかふかの雪面にほったためイグルーの元となるブロックが全く作れず、失敗。ただの大きな穴になってしまった。仕方がないのでエマージェンシー用に持ってきたテントを張り万一に備える。

 2回目はKさんが16時の天気図をとるために戦力外となり1人で作ることになる。1回目の経験を生かしてまずブロックに適した固い雪面を選定し、そこからスノーソでブロックを切り出す。

 さらに1回目の経験であまり大きな穴が必要ないことがわかり1人で作業できるくらいの小さな穴を掘り始める。順調に作業は進んだが3段目を積み上げたくらいから後、天井部分を積み上げる段階でどうしてもブロックが崩れてしまう。

 二人で作業をすれば一人が支えている間にもう一人が積み上げるということができるのだろうか?それにもう一つの問題は出入り口部分をどうするのかがわからなかった。よく見るイグルーの絵ではなんかアーチみたいなのがかかっていたがあれはいったいどうやってつくるんだ???

 というわけで2個目も失敗に終わり、結局ただのキジうち場として活用されることになる・・・

 3度目の正直と言うことで今度は2回目の失敗を生かしてブロックを小さめにつくって積み上げることにする。2回目はブロックを大きくしすぎたために天井部分が崩れてしまったのではないだろうかという考えである。

 しかし結局3回目も失敗。土台部分のブロックを小さくしすぎたために上段部分を積み上げきれなくなり、あえなく崩れ去りただのブロックの山になる。

 ここで時間切れ。しかたなくエマージェンシー用のテントに潜り込み一夜をあかすことになる。テント持ってきておいて良かった良かった。。。

 すぐ隣ではどこかの山岳会が傾斜を利用して雪洞を見事に完成させており、ますます情けなくなる。

 翌日、鹿島槍ピーク往復を中止して、そのまま赤岩尾根を下り下山。赤岩尾根は1カ所、ザイルが必要かな?と思わせるような下りがある。なぜか残置ザイルが張ってあり(小屋が作ってる?)それを利用して降りたが、
もしなかったらザイルを出すか、かなりシビアな下降が要求されるだろう。
ちなみに懸垂に利用できるような支点はない。(残置はスノーバーのようなものを使って雪中から支点をとってました)

 1330車に到着。仕事の関係もあり温泉に入ることもなくさっさと家路を急ぐ。

 今回の山行は主にイグルーの制作に主眼を置いていたがここで得られた教訓としては
○スノーブロックはあまり大きく作りすぎない(かといって小さすぎてもだめ)
○スノーブロックを切り出すために固い雪面が必要
○最初に掘る穴は小さめに

であった。これらの教訓を生かして次の山行では是非イグルーを完成させたい。  
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January 12, 2002

八ヶ岳(阿弥陀岳/北稜)

<行動>
美濃戸(07:30)~行者小屋(09:10/09:30)~北稜取付(13:00)~阿弥陀頂上
(14:00/14:20)~美濃戸(1600))

<記録>
(02:00)
 美濃戸着、凍結していることが予想されたので車で美濃戸まで行く事は困難かと思っていたが案外あっさりと到着する事ができた。こういうときに4WD+スタッドレス(デリカ)は心強い。

 しかし前夜が仕事で徹夜であったせいか猛烈に眠い。。。美濃戸に着くまでの林道で何度も寝かかり車が何度も側壁にぶつかりそうになる。こらえていたものが吹き出すかのように到着と同時に車の中で熟睡する・・・。

(06:00)
 Sさんに起こされ何とか起床、日頃の仕事が激務になったせいか一度寝るとなかなか起きない体になっている。あ~辛い。さてあらためて車に積んである全ての山道具の中から今回の目標ルートである大同心南陵に必要な道具をかき集めている時にふとヘルメットがない事に気づく・・・・。

 お~そういえば先週、新たにグリベルのヘルメットを購入したのにそれを車に積むのを忘れていた!!恐る恐る、Sさんにその件を持ち出すと、笑ってルート変更に承諾してくれた。なんていい人だろう(^^;)。

 さてではヘルメットもないのにどこに行こうかと相談したところSさんは阿弥陀の北稜に行った事がないから行きたいと言う。私は入会したときの初めての冬山山行でビバーク訓練として阿弥陀の北稜に登ったので一度登った事はあるが初心を思い出すためにももう一度登るというのもいいものである。それにヘルメットも無しで登れるルートというのも他に思いつかない。というわけでルートは阿弥陀の北稜に決定した。

北稜だったら半日で戻ってこれるかなぁなんて笑いながらパッキングする。ザイルとハーネス以外ほとんど何も入れない。

(07:30)
 美濃戸を出発。行者小屋までの道のりをテクテク歩く。途中、厳冬期の内に何とか登りたい阿弥陀の北西稜への取り付きを確認しつつ行者小屋に到着。仕事の疲れが残っているのかあまり足取りは軽くないが、はっきり言って荷物は全くと言っていいほど持ってきてないのでかなり楽チンである。

(09:30)
 行者小屋を出発。北稜へのアプローチを覚えていなかったのでとりあえず北稜に向かってまっすぐ行けばいいだろうと思い登山道からすぐに沢沿いに入りラッセルとなる。

 当初、ラッセルは膝~腰くらいであったが沢から稜線へ突き上げる樹林帯の斜面に入った途端、ラッセルは胸~頭くらいの高さになる。八つでこれほどのラッセルは予想しておらず少しの高度を稼ぐにもかなりの時間を取られるようになる。2時間半格闘して正午となってもいまだ樹林帯の中で稜線すら目に入らない。敗退すら頭をよぎるようになる。。。

 それでも北稜ごときで敗退したくないのでさらにラッセルを続ける事、1時間、ようやく稜線が目に入り、安堵する。いやホントに良かった良かった。

 そこでようやっと後続のパーティが続々と(3パーティ)追いついてきて取り付きに付いた時点では8人ほどが取り付きに入り乱れ急ににぎやかになる。

 帰ってから北稜のトポをよく見てみると「下部の樹林帯はラッセルが大変なので中岳のコルへの一般登山道を行き、ジャンクションピーク目指して最短のラインを取るのが一般的」と親切にも但し書きが付いている。。。どうやらわざわざ大変なルートを選定してしまったようだ。。。

(13:00)
 というわけで取り付きに付くまでに4時間近くを費やしてしまったがなんとかトップで岩にとりつく。岩と言っても北稜の岩は実質5メートル(?)くらいしかない2級くらいの岩ではあるが念のためロープを出す。

 もともとこの週末はアイスを楽しむ予定であり、そのために買った立てヅメのアイゼンをもったいないながらも北稜で試す事にする。う~ん、実に快適に登れる。ただ爪が横から縦になっただけであるがそれだけでも岩の上でスタンスとして足をおける場所が格段に増えている。やっぱり道具が変わっただけで1グレードくらい上達したような気がする。はやく実戦(アイス)で試したいものだ。

 そそくさと核心(?)を終わらせ阿弥陀の頂上に立つ。二人で今回行くはずであった大同心をバックに写真撮影。デジカメを持ってこなかったのを後悔する。一息入れた後、一気に美濃戸まで下山、16:00今回の
山行を終える。

 というわけで今回の山行は予想以上に楽しめました。特にラッセルをするなんて2年前の小窓尾根以来であり
ラッセルがかなり下手になっているのを痛感できました。 ラッセルと言うよりただ雪の中でもがいているだけと言った状態であり、今度ビックルートに行く際は必ずラッセルの練習をしてから行った方が良い事を痛感。

 来年の正月こそは剣にまた行きたいものです。  
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August 16, 2001

錫杖岳(前衛フェース/1ルンゼ)

8/14 22:30
Tさん邸を出発。う~ん、それにしてもTさん家(千葉・蘇我)は遠い!!
しかも京葉道路は帰省ラッシュで混雑している。いったい錫杖に着くのはいつになる事やら・・・

8/15 04:00
途中、わずかな休憩をはさんだものの5時間以上ぶっ通しで運転し続けやっと新穂高温泉の駐車場に到着。
新穂高温泉に続く橋の上ではガングロ・茶髪の女の子達がキャッキャ言いながら騒いでいる。あまりのミスマッチに感心しながらも、隣を見てみるとTさんがやすらかな寝息を立てている。。。
予定では今日は2本(1ルンゼと北沢フェース)登るはずなので今からアプローチしはじめても良いのだがとてもそんな気にはならずそそくさと寝る事にする。

8/15  06:30
2本登るにしてはやけに遅い出発となってしまったが仕方がない。朝食もそこそこに駐車場を出発。スカッと抜けるような青空が広がる中、足取りも軽く槍見温泉脇を通り抜ける。
快適な林道を一時間も歩けば錫杖・前衛フェースが見えてくる。
前衛フェースが見えればそこから取り付きまではもう一時間ほどだ。

8/15  08:50
前衛フェース基部から岩づたいに踏み跡をたどり1ルンゼ取り付きに出る。
1ルンゼそのものは一番下から登れば全8ピッチとなるが基部から岩づたいに踏み跡をたどれば下部の2ピッチは省略できる。したがって我々は3ピッチ目からの登攀となるので全6ピッチとなる。
取り付きで準備していると名古屋から来たという3人組が後続として来たのでさっさと登る事にする。

0910 登攀開始
1P目 Tリード
 トポでは30mのスラブとなっている。スラブというよりも簡単なフェースのような気がする。
20mほど登ったところのそれらしい支点でピッチを切ってしまったがさらに10mほど上に支点があるのでそこまで行ってから切った方が良いだろう。

2P目 Sリード
 ルンゼを10mほど登って左側に少し回り込んでスラブを登る。ここも簡単なクライミングに終始するが1P目で10m短く切ってしまったので2P目の終了点には50mいっぱいのばしてギリギリでたどり着く。違う意味で冷や汗をかく。1,2P合計して40分で登る。なかなか良いペースだ。

3P目 Tリード
 凹角を少し登った跡にルンゼを左上する。昨日、激しい夕立があったらしくところどころ水がしみ出している。4+の凹角もややしょっぱいがそれに続くルンゼの左上も水がしみ出していていやらしい。
このピッチはやや難しいだけに30分かかる。

4P目 Sリード
 いよいよ、A1の核心ピッチである。正規のルートは目の前のクラックを直上してハングを越えるとあるがハングからは水が滝さながらにしたたり落ちている。。。こんなとこまで来てシャワークライミングもしたくないので迷うことなく左のルンゼを登る事にする。こちらの巻きルートも人工ルートとなっており。ピンはベタうちであるので
さして苦もなく登る事ができる。ただし約1年半ぶりのアブミ登攀ということもありすっかり登り方をど忘れしていた・・・。おかげでリードに37分もかかってしまい要反省。45mほどのところに支点があったのでそこでピッチを切る。

5P目 Tリード
 40mほど登ったところで横断バンドに出て終了点となる。

なぜか5ピッチで終わってしまったが気にせずに、懸垂下降。
そのまま下まで(両方とも50mザイルなら)3回の懸垂で降りる事ができる。取り付きに戻ったのが12時30分。

さぁ、では北沢フェースを登るかぁ、意気込んだところにニョキニョキニョキとどす黒い雲・・・。いやな予感は的中して5分後には雷と共にたたきつけるような雨となりそうそうと撤収を決める。

そのまま帰ってもどうせ帰省ラッシュにつかまることはわかっていたので岩屋根の小屋でしばらく雨やどり。ついでにそこにあった人工ルートでしばらく遊んでから下山、のんびりと温泉につかり帰路に就きました。

結局、往復12時間、8000円也をかけていった割には2時間30分の登攀で終わってしまいやや残念でしたが久しぶりのアルパインクライミングを満喫する事ができました。  
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January 04, 2000

剣岳(小窓尾根)

12月27日(月)快晴
 伊折(07:20)~馬場島(09:30/10:08)~取水口(11:50/12:00)~コル(14:15/14:30)~雷岩(15:30)~小窓尾根/1380m(18:00)

 26日は冬型気圧配置で寒気が流入しているため、長野道に入った所で雪が降っていた。剣岳周辺でも降雪があったようで、伊折でもかなりの積雪となっている。

 いつもなら、伊折集落にゲートがあるのだが、今年はいつもの場所にゲートが見あたらない。更に馬場島に向かって車を走らせたい気持ちもあったが、伊折までしか除雪はされないし、大雪で閉じこめられるのも嫌なので、いつもの場所に車を置いていく。結局、ゲートは15分ほど歩いた所に設置されていた。

 今日は、天気は快晴。剣岳がよく見える。馬場島でヤマタンを受け取り早速出発する。26日に雪が降ったおかげて、馬場島で1m以上は積雪がある。途中の橋まではテレビ取材のためのトレースがあったが、橋より先にはトレースは無い。

 先行でグループ・ド・ミソジパーティが25日に入山しているが、26日の積雪のため、トレースは全く消えている。

 今回は、6名なので交代しながらラッセルをしたが、結局、取水口まで2時間近くもかかってしまった。

 取水口から通常なら右の尾根を回り込んでいくのだが、このコースはトラバースや徒渉が悪いので、堰堤の奥にあるコルを越えていく事にする。

 このコースは、雪の状態によっては雪崩れの危険があるが、今回は比較的雪が安定しており、胸のラッセルで急斜面を登って行く。

 コルからの下りも急斜面なので雪崩れに注意が必要だ。一気に下ると、ちょうど下ったところが池ノ谷出会になる。

 雷岩から小窓尾根稜線まで、また急斜面の登りになる。かなりのラッセルで時間がかかり、途中でヘッドランプを出す羽目になってしまった。

 6人もいるので、今日は1600m付近までは登れると思ったが、予想以上にラッセルがきつく、1380mの稜線に出た所までしか届かなかった。夜は、初日用のビールで乾杯。ラッセルの後だけに美味い。


 12月28日(火)快晴

 1380m(08:00)~1600m(10:10)~1900m(12:45)~ドーム(16:58)

 剣岳にしては珍しく2日続けての快晴である。アプローチの車でほとんど寝ていないのと、初日のラッセルで疲れていたのか、寝過ごしてしまい高層天気図が書けなかった。1時間遅れで出発。

 相変わらずのラッセルで、1時間で標高差120m程しか登ることができない。1900mピークに着いたときには、もう12:45だった。

 1900mピークには、ミソジパーティの幕営跡があり、この先はトレースが半分残っている。

 3段の雪壁の急登を登ると2120mピークに出る。ニードルは、右側からクライムダウンしてザイルをフィックスして通過する。

 コルからひたすら登るとドームに到着。ちょうど日が沈む所で、辺りが真っ赤に染まっていた。

 ドームにもミソジパーティの幕営跡があり、早速使わせてもらう。


 12月29日(水)雪

 ドーム(09:25)~マッチ箱終了点(14:00)~小窓ノ王懸垂地点(16:10)~三ノ窓(16:45)

 目が覚めると、夜半から降り始めた雪がテントを叩いている。しかし、寒気が強くないのでドカ雪になるような気配はない。

 少し様子を見て、雪が比較的弱くなってから出発する。ミソジパーティのトレースも完全に消えており、またラッセルから始まる。

 ピラミッド状ピークは、木をつかみながら1段登って雪壁をバンドまで登る。その後、右側へトラバースしピラミッドを回り込んで、急雪壁をラッセルしながら登って行く。

 行き詰まった所が凹状になっており、微妙なバランスで乗越さなければならない。ビレーできる所では無いので、ノーザイルで行こうと思ったが、一度クライムダウンしてザイルを引っ張っていく事にした。

 乗越してからは、立木で2カ所ほどランニングを取ることができた。ザイルを目一杯延ばすと稜線に出て、雪の中のブッシュを掘り出してザイルを固し後続を登らせる。

 次は、マッチ箱下部の岩稜帯だ。それほど難しくは無いが、雪が不安定に着いているし落ちると終わりなので、他のメンバーがピラミッドを登っている間にザイルをフィックスする。

 次は、8mほどの岩から急なルンゼ。その次は、20mほどのかなり急なルンゼを登る。ここは雪が不安定だとかなりやばい所だが、今回は2日間天気が良かったせいか、比較的安定していた。

 結局、マッチ箱の基部まで3回ザイルをフィックスした。ザイルを目一杯延ばすと、声がほとんど届かないので、今回は各自に無線を携帯させて、スピーカーマイクを使い、常時、無線が使えるようにしておいた。

 雪が降って風もあり、コールはまともに聞こえない状態だったが、無線のおかげで、指示を全員に確実に伝達できて、スムーズに行動する事ができた。

 マッチ箱を右から回り込むと稜線上にでる。アップダウンを繰り返しながら小窓の頭を目指して進んでいくが、ホワイトアウトなのでコンパスと地図で確認し、赤谷方面へ迷い込まないように慎重に行動する。

 小窓ノ頭に着く頃には、時折太陽が顔を見せるようになってきた。

 小窓ノ王の基部から、急雪壁を50m懸垂を1回し、1ピッチザイルをフィックスして三ノ窓に到着。正面のチンネが真っ白になっている。

 あれほどのラッセルにも関わらず、比較的天候に恵まれたおかげて、予定どおり3日間で三ノ窓まで登る事ができた。

 12月30日(木)曇り~晴れ

 三ノ窓(06:50)~池ノ谷乗越(07:50/08:00)~剣岳(11:43/11:50)~早月小屋(15:15)

 池ノ谷乗越への登りは、ラッセルとクラストした雪面との繰り返しで、ひたすら登っていく。

 乗越から八ツ峰を見ると、3峰あたりに2~3パーティが行動しているのが良く見える。これだけ天気がいいと八ツ峰も快適そうだ。

 長治郎のコルまではラッセルが続く。剣岳の肩までは、結構急な雪面だし、雪崩れる可能性もあるので、ザイルを2本つないで100mのフィックスをして通過した。

 山頂に向かうに従って、雄大な景色が見えてくる。今まで何回も冬の剣岳に来ているが、これだけの景色が見えたの初めてだ。

 後立山から穂高、八ヶ岳、南ア、中央ア、乗鞍など、全てがはっきりと見える。富山方面は、雲海が広がっていて毛勝山が頭を出していた。

 風が強いので、山頂で写真を撮って早速、下山にかかる。早月尾根の下りは、天気が悪いとかなり神経を使うが、今日はトレースもしっかり着いており視界も良好なので、景色を楽しみながらのんびりと下山する。

 早月小屋は、この前に建て替えられて綺麗になっていた。小屋のまわりにはテントはまだ3張りしかない。他のパーティは、登頂が元旦になるように明日登ってくるのだろう。

 テントを張ろうと準備をしていた所、ビールを買いだしに行った仲間が「布団なしなら素泊まり3500円だよ」と言っている。

 今まで、エスパースの4~5人用テントに6人が入って、寝返りも打てない状態で寝ていたので、迷わずテントを畳んで小屋にお世話になることにした。

 まだ、宿泊者も少ないので20畳近い部屋が貸し切りで、おまけにストーブも貸してもらえ、部屋で炊事までOKで、非売の日本酒まで売ってくれ、至れり尽くせりだった。

 一足早い、打ち上げが盛り上がったのは言うまでもない。

 12月31日(金)快晴

 早月小屋(07:45)~馬場島(09:45/10:15)~伊折(11:40)

 今日も快晴。冬の剣がこんなに天気が良くていいのだろうか??

 馬場島でヤマタンを返却する。

 警備隊の詰め所で聞いたところ、29日~30日にかけて馬場島では雨がかなり降ったという事で、雪がかなり少なくなっていて、山肌は春の様な感じであった。

 伊折までの道は、初日はラッセルだったが、今日はアイスバーンになっていた。  
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October 02, 1999

北岳(十字クラック~ピラミッドフェース~第4尾根)

 十字クラック~ピラミッドフェース~第4尾根~中央稜の継続登攀を予定していたが、予想以上に時間がかかってしまい、中央稜は諦めることとなった。

 しかし、天候に恵まれ(恵まれ過ぎて暑さに多少辟易したが)、夏を思わせる日差しの中、汗を拭いながら登るピラミッドフェースはとても楽しく、充実した登攀となった。

 広河原 [04:00] --> 二股 [05:40] --> 十字クラック取り付き [07:40/08:25] --> ピラミッドフェース取り付き [10:20] --> 第4尾根合流 [13:20/13:45] --> 終了点 [15:40/16:20] --> 二股 [18:20] --> 広河原 [20:20]

 02:00前に広河原に到着。

 駐車場は6~7割程度は埋まっているが、激混みのときと比べると、半分以下の混み具合いであろうか。少し車で仮眠後、03:30起床。無風、一面の星空、今日は最高の天気になりそうだ。広河原山荘にて登山届けをだし、4:00出発。

 05:40二股。少し休憩をとり出発。一本目の沢を少し越えた辺りから赤テープ、踏み跡を辿りながら右に入る。少し登ると一本目の沢に合流した。ガレガレの沢を登り詰めていく。途中でルートの過ちに気づき、薮、ガレ場をトラバースしていき、何とかバットレス沢に入り、十字クラックの取り付きに辿り着く。

 登攀準備後、私リードで、十字クラックの1P目。

 今回小さめのメカニカルデバイスしか持っていかなかったため、クラック通しに登れず、左に逃げる。左も難しく、ホールドが見つからない。一手A0で登る。

 2P目、Fリード。6級になっているハングを超える。ホールドも大きく、岩もしっかりしており、ボルトもいい位置にあるため、ちょっと拍子抜けしながらフリーで超える。

 3P目、私リードで緩傾斜帯に入る。

 予想以上に十字クラックに時間を食ってしまったこと、また取り付く時間が遅くなってしまったことなどから、中央稜まで継続して登攀することを諦める。ザイルを束ねて肩に背負い、ピラミッドフェース直下、ハング帯の真下(右上バンドをいく場合の取り付きより4~5m程度右手)まで移動し、ビレーをとる。

 1P目、Fリード。

 右からハングを回り込みスラブを左上。ザイルを切らずにそのまま直上し、50m近くまで伸ばし、傾斜のあるクラックを登った所でザイルを切る。所々ランアウトするが、不安は感じない。

 2P目、Sリード。
 出だし、いいフットホールドが見つからず、非常に微妙な感じで登る。5~6m直上後、逆層のハング帯の下を左手にトラバースし、さらに斜上。傾斜は緩いが、少しいやらしく感じた。

 3P目、Fリード。
 逆層のフェースを7~8m登ると四尾根が10m程右手に見える。まだ終りのはずはないんだがと思いながら右上し、四尾根に突き上げる。そこでビレーしている人に聞くと、やはりピラミッドフェースの終了点はまだ上だと言われ、クライムダウンしピラミッドフェースに戻る。さらにフェースを登り、ほぼ垂直のコーナークラックを抜けたところでザイルを切る。コーナークラックは途中にナッツの残置があった。また後半部分は多少ランアウトするが、フィンガージャムがしっかり効き、またしっかりした大きなホールドもあり不安はない。左手下方に下部フランケが見える。下部フランケから4尾根に抜ける際もやはりここを通過するのだろう。

 4P目、Sリード。
 2mほど右手に移動した後、傾斜は多少緩むが少しいやらしいノッペリした感じのコーナークラックを4~5m登る。ルート図にある垂直のコーナークラックとはここだろうか、それとも前のピッチのものであろうか。そのまま階段上のなんということもないところを右上。

 13:20四尾根に突き上げピラミッドフェースを終了。

 大休止後、ザイルを一杯に伸ばしながら4尾根を登る。2Pでマッチ箱の懸垂地点に着く。懸垂後、2Pで4尾根の終了点に着き、15:40登攀の終了となった。

 登攀具を片付け、ハーネスを外し、フラットシューズを脱ぎ、身軽になる。大休止後、北岳のピークには向かわず、そのまま八本歯のコルを経て大樺沢を広河原へ下山した。

 充実感のあった登攀。  
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May 04, 1999

剣岳(八ツ峰/II稜~主稜)

4月29日(晴れ)
 立山(0650)~室堂(0800/0846)~別山乗越(1130)~真砂(1250)

 今回は、立山から入山して剣沢を下降して真砂まで行く事にした。剣沢はまだテント一張りもなく、不気味なくらい静かだった。

 真砂までの下降は、雪渓がモナカ雪状態で非常に歩きづらく、疲れてしまう。

 真砂の埋まっている小屋の上にテントを張って、早々と宴会。

4月30日(晴れ)

 真砂(0530)~マイナーピーク(0930)~2峰(1225)~V・VIのコル(1530)

 当初は、八ツ峰下半はIII稜から取り付く予定であったが、下部から見たところ取付付近は雪がなく、ブッシュ登りになりそうな感じであったので、比較的雪の多いII稜に変更し登攀を開始する。

 II稜の右稜線から取り付き、雪壁、ブッシュ、雪稜、ルンゼを登り切ると、マイナーピークの基部に到着。

 ここは2ピッチの登攀だ。途中チョット悪い箇所もあるが難なく越えていく。

 20mの懸垂でコルに降り立ち、ハイ松の木登りをして雪壁、雪稜を登って行く。今日は、天気は快晴で後立山の稜線がきれいに見える。登攀していても気分がいい。

 2峰の下部にまた岩場があったが、簡単に越えられる。真砂から7時間25分で4峰に到着。メンバーが5人と言うこともあり以外と時間がかかってしまった。

 4峰で大休止してから今日の目的地のV・VIのコルへと出発する。クライムダウン、雪稜、ナイフエッジ、懸垂を繰り返しながらピークを越えていく。

 時折、緊張させられるナイフエッジがでてくる。V峰の懸垂下降は、2回でV・VIのコルに降り立つ事ができた。

 コルにはテント2張りがあったが、整地してテントを設営した。

5月1日(晴れ)

 V・VIのコル(0530)~池ノ谷乗越(0800/0830)~剣岳(0850/0910)~早月小屋(1130/1145)~馬場島(1400)

 今日も快晴で、気温も比較的高い。出だしのVI峰の登りはかなの急雪壁になっている。

 八ツ峰らしいナイフエッジが何カ所も出てきて、程良い緊張感を楽しめる。

 VI峰を懸垂下降して、7峰のピークに立つ。トポでは竹ペグの懸垂下降となっているが、難なくクライムダウンする事ができた。

 8峰の簡単な岩場を越えるとすぐに池ノ谷乗越だ。

 最初は、剣尾根も計画していたが、雪がほとんど付いていないので中止して、剣岳へと向かう。

 天気が非常に良く、山頂では能登半島から遠くは富士山まで望む事ができた。

 記念写真を撮って、そそくさと早月尾根を下降する。今年は結構残雪があり、クラストしている斜面が結構あった。

 早月小屋から下部は雪も腐ってきていて、快適なグリセードを楽しむことができた。

 下山後は、立山においてある車を取りに行って、夜は富山で旨い酒、魚を楽しんで、翌朝に帰った。  
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