September 07, 2016

チンネ左稜線(2日目)/剣岳/富山

 8日0500起床

 三の窓に差し込む朝日とともに起床。


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 台風が日本列島を連続通過中だが、幸いなことに、なんとか今日も午前中なら天気は持ちそう。Sさんもたっぷりの水を飲み、大分、回復したようだ。

 いよいよチンネへのアプローチ開始。

 チンネ末端取りつきに至るまでの三の窓雪渓には多少雪渓が残っている。が、近づいてよく見てみると、ところどころシュルンドが開いているので、アイゼンなしでアプローチできた。


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           <アプローチには雪渓が残っていたが、シュルンドを通過して、アイゼンは不要。>


 0700登攀開始 

 1P目4級 私リード


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                     <チンネ左稜線、1P目>

 人気ルートなので残置が豊富にあると思われた1P目。全く残置が見あたらない。ここで良いのかと不安に思いつつ、登攀開始。凹角にあるクラック沿いに20mほど登ると、終了点を発見。ホッとする。キャメ1番×1使用。



 2P目4級 私リード


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                     <チンネ左稜線、2P目>


 ルンゼは昨日までの雨の影響からか、ビショ濡れ。ルンゼを避け、右のフェースにラインを取る。残置は皆無で、なかなかシビアなクライミングを強いられる。おそらく、正規のラインとは違うところを登っているのだろう。トポ上は4級となっているが、あきらかに5.10グレードがつくクライミングだ。


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                       <2P目をフォローするSさん>

 キャメ0.75,0.5を使用し、ルンゼが終わるハングの真下でピッチを切る。

 全てのピッチを含め、このピッチが一番難しかった。

 チンネは下部岩壁で良く事故が起きるとは聞いていたが、残置の乏しさやルートファインディングの難しさもあるのだろう。確かに事故が起きても不思議ではない。


 3P目4級 私リード


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 ハングを右から回り込むようにして、ヤブ地帯を突破し、フェースに出る。延ばせるところまでロープを延ばし、フェースの途中で支点をつくってビレイ。


 4P目4級 私リード

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 フェースを残置に導かれて登る。このピッチも簡単なので、ロープをめいっぱい延ばし、一気にリッジまで。このピッチあたりから残置が豊富に見られるようになる。

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 5P目3級 私リード

 ピナクルの林立する鋸波状の稜線を歩く。T5へ。


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 6P目5級 私リード

 左稜線の核心となる「チンネの鼻」。一見、難しそうに見えるが、よく見ると傾斜もなく、ホールド・スタンスとも豊富。


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                           <「チンネの鼻」>


 そしてちょうど、日差しも出てきて、硬い花崗岩とさわやかな青空の下、快適なフェースクライミング。これぞ剣、これぞアルパインという気分を満喫。


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                     <チンネの鼻をフォローするSさん>


 7P目4級 私リード


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 凹角~リッジを登る。6ピッチ目と同じく残置も豊富。

 8P目3級、9P目3級 私リード

 フェースからリッジを歩きを交えつつ登る。


1200 登攀終了
 全ピッチ、オールリード、オールOSで完登。

 チンネの頭へ。


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                          <ついにチンネの頭に!>


 ついに、クライミングを始めた頃から登りたいと思っていた、チンネを完登することができた。改めてチンネの頭から剣岳周辺の岩場を見渡す。


 天に向かってそそり立つ尖塔や、登攀者のみが見ることを許される広大なカール地形が織りなす雄大な景色。

 「岩と雪の王国」という形容がまさにぴったりだ。

 そして、チンネ左稜線、核心は6(トポ上は9)P目の「チンネの鼻(5級)」と一般的には思われているが、チンネの鼻には、残置ハーケンがたくさんあることもあり、簡単。

 むしろ、下部の2P目の方が、ライン取りや、自分でプロを取らなくてはならないといった観点で難しいだろう。また、下部のピッチでは残置が少ないこともあり、ハンドサイズのカムを持って行った方が良い。


 そして下降。懸垂下降しようと思ったら、、、、なんと歩いて降りられるではないか!


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                          <歩いて池の谷ガリーへ>


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           <写真ではロープを持っていった手前、一応、懸垂してますが、歩いても降りられます。>


  「日本の岩場(下:新版)」によると、チンネの頭からの下降は、池の谷ガリーの方向に懸垂下降が必要と書いてあるが、(ガレ場ではあるものの)実際は、歩いて降りられる。したがって、チンネの登攀には50m以上のシングルロープ1本あれば十分。ダブルロープ2本持っていきましたが、もっと軽量化できたことになる。


 1300 三の窓テン場
  テントを撤収して、取り急ぎ、下山を目指す


 1500 剣頂上

 ついに雨がポツポツと降り始める。時折、激しい雨が振り付け、馬場島に着く頃にはずぶ濡れになっていた。チンネを登れたのは、本当にラッキーだった。

 2000 馬場島駐車場着

 通常、チンネは2泊3日程度かけるらしいが、今回は1泊2日で抜けることができた。

 結局、共同装備は私が全て背負っての登攀だっただけに、ロープを1本にする等、もっと軽量化すればさらに
 早く行動することもできただろう。足がそろったパーティならチンネをワンデイで終えることも可能ではないだろうか。

 剣岳、この山には、アルパインクライミングの魅力が全て詰まっている。まさに日本を代表する秀峰。

 そして、改めて、アルパインの魅力を体感させてくれてありがとう。


 Sさん、今回はかなりキツい山行になってしまったと思いますが、お付き合い頂き、ありがとうございました!!!(^^)(^^)(^^)


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          <帰路、「満天の湯・富山店」で入浴(700円)。午前2時までやっていて食事もできる。>



Posted by straysoldier at 23:30│Comments(0)TrackBack(0) Multi Pitch Climbing 

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