1月23日付読売新聞は以下のように伝えている。
『 「様々な課題があることが明らかになった。どう解決していくか、政府と党が一体となって取り組んでいく必要がある」
首相は22日、自民党本部で開かれた同党の全国幹事長会議でこう述べ、人質事件を受けた危機管理体制の強化に取り組む考えを強調した。菅官房長官も22日の記者会見で「今日までの対応の中で、やはりNSCの設置は極めて大事だなと思っている」と語った。
課題の一つが、情報の収集と集約・分析だ。事件では、アルジェリア国軍の軍事作戦や人質の安否などをめぐり、確かな情報を得るのは困難を極めた。
米軍は無人偵察機を現地上空で飛ばすなどしたが、機微にふれる情報はなかなか伝えられなかったという。首相は22日のテレビ朝日の番組で、「軍がオペレーション(作戦)を展開する場合は、軍の人たちとある程度の関係を持つことが大切だ」と指摘した。 』
安部第1次内閣以来、何度も浮かんでは消えている「日本版NSC構想」。
その必要性については、もはや議論する余地もないほど明らかだが、その運用にあたっては、上記記事でも指摘されている通り、現状では海外における情報収集体制に大きな問題点がある。
現在、海外における情報収集活動(ヒューミント)は主に外交官や防衛駐在官に頼っている。その方法は、各国大使館でのパーティーや学術会議への出席などを通じた情報交換が主だが、対テロ関係の情報となると外交官が認められている外交活動から離れて、どうしても違法行為に踏み込んでいく必要がある。
例えばテロ行為を行いそうな反政府組織やテロ組織に浸透し(または内部に協力者を獲得し)、情報を集めるというやり方がその一例だ。ただこのようなヒューミント活動や、さらには外国での通信傍受や無人機による情報収集は、基本的には「違法行為」となってしまう。
したがってこれらの方法を日本政府として、(公に認める訳にはいかないが)黙認し、組織としてバックアップする体制を構築する必要がある。そうしなければ、誰も命を落とす危険すらある諜報活動を、わざわざリスクをとって行おうとする者はいない。
「君が組織に拘束され、あるいは殺害されても、当局は一切、関知しない。。。」というと、まさにミッション・インポッシブルやジェームズ・ボンドの世界だが、他国における情報活動は、このようなグレーゾーンで行われるのが常識だ。
グローバル化する日本企業が、海外でテロ行為に遭遇する可能性は今後益々高まるのは間違いない。これらの在外邦人を守るため、今、日本政府の覚悟が問われている。