核武装の解除に伴うエネルギー支援という形で決着をみた先般の6カ国協議。結果的に米中両大国の意向に沿う形になったが、今回得られた教訓から日本は多くのことを学ぶ必要があるだろう。
日本は協議開始前から「拉致」問題と「核武装」の問題を切り離して考えることはしないと主張していた。協議終了後の現在でも「拉致」と「核武装」の問題はそれぞれ北朝鮮の政策として行われたことであり、同根であるとの姿勢を崩していない。
にもかかわらず、日本と同盟国であるはずの米は、イラク問題との両立は避けたいという国益計算に基づき、6カ国協議に一定の成果を求め、結果的に北朝鮮に有利に6カ国協議は進行した。
実は、これは米の外交姿勢としては、べつに驚くに値しない。太平洋戦争以前から変わらぬ外交姿勢である。なぜなら米国をはじめとする諸外国にとって、外交とは、独立国が自国の利益を導くためにやるものだからである。
しかし、これで米が国益計算の如何であっさり日米「同盟」すら脇に置くという現実がはっきりとしたわけである。今回の教訓として、今後、日本は独立国として対北朝鮮政策には一貫性を持つべきだということを言いたい。対米依存にかまけて自主防衛を放棄したままでは、いつかツケを払わされる日がくるのは確実といえよう。そうなる前に、自国の防衛について国民一人一人が、もう一度、真剣に考えてみる必要がある。